マンションが建て替えになったら費用はどれくらいかかる?相場や対策方法を解説

マンションが建て替えになったら費用はどれくらいかかる?

マンションは築30年〜40年程度が寿命だと言われています。

そのため、どこかのタイミングでマンションの建て替えが決まることもあるでしょう。

この際に、費用は誰がいくらくらい支払うのでしょうか?

マンションの建て替えを行う条件や、建て替えにかかる費用の相場などについて詳しく解説していきます。

マンションはなぜ建て替える?

マンションを建て替える理由

マンションは築年数が一定期間経過して老朽化すると、建て替えなければならない可能性があります。

マンションは老朽化すると資産価値が下落し、加速度的に劣化が進んでいくので、そのまま住み続けることが難しくなるためです。

まずはマンションの建て替えが必要になる理由について詳しく解説していきます。

老朽化するとマンションがゴーストタウン化する

老朽化するとマンションがゴーストタウン化するリスクがあります。

マンションは劣化すると新たな物件へと引っ越す住人が増えるので、退去者が増加します

そして退去者が増加して空き部屋が増えると、マンションはゴーストタウン化する傾向にあります。

ゴーストタウン化とは、修繕も管理もままならない状態で、こうなると新規入居者はますます現れなくなり、時間の経過とともにさらに空き部屋が増えていき、まさにゴーストタウンのようになることをいいます。

管理費や修繕費の不足で建物は加速度的に劣化する

マンションが老朽化して空き部屋が増えることによる最大の問題点は、管理費や修繕費が不足するという点です。

管理費や修繕費は空室率が30%を超えると管理組合の維持や修繕計画の履行が難しくなると言われています。

管理組合が機能しなくなれば清掃や補修などの管理ができなくなり、建物はどんどん劣化していきます。

また、修繕積立金が不足しているのであれば、予定していた大規模修繕を行うこともできません。

マンションが老朽化することによって空室率が上がると管理も修繕もままならなくなり、建物は加速度的にどんどんと劣化していきます。

災害時などの耐久性も懸念される危険な物件になってしまう可能性があります。

住民の80%の同意があれば建て替え可能

老朽化してゴーストタウン化した建物は管理も修繕もできないため、劣化がどんどん進んでいきます。

そのようなマンションを保有し続けていても資産価値は下落する一方です。

そのため、ここまで老朽化した建物は住民の安全のためにも資産価値の維持のためにも、建て替えをすることによって安全性と資産価値を維持することができます。

マンションの建て替えを実施するためには、住民の80%以上の賛成が必要になります。

管理組合がマンションの建て替えを住民に提案し、住民の80%以上の賛同を得た場合のみ建て替えることが可能です。

マンションの建て替えが進まない理由

マンションの建て替えが進まない理由

マンションは住民の80%以上の賛同があれば建て替えをすることができます。

しかし、老朽化したマンションはなかなか建て替えが進まないのが現実です。

実際に古いマンションを住民の賛同を得て建て替えた事例は多くはありません。

マンションの建て替えが進まない主な理由は次の3つです。

マンションの建て替えが進まない3つの理由
  • 住民の中に反対する人が多いから
  • 建て替えの費用は住民負担だから
  • 容積率超過のマンションが多いから

マンションの建て替えが進まない3つの理由について詳しく見ていきましょう。

住民の中に反対する人が多いから

住民の中に反対する人が多いのがマンションの建て替えが進まない大きな理由の1つです。

マンションを建て替える場合、建て替え時と建て替え後の入居時の2回引越しをしなければなりません。

2回の引っ越しには手間も費用もかかります。

また、仮住まいする住居の家賃や敷金礼金なども自分で負担しなければなりません。

このような負担金が発生することに対して抵抗を感じる住民も多数存在します。

また、高齢者の住民は「マンションが古くてもお金と手間がかかるのであれば建て替えはしない方がいい」と感じるものです。

古いマンションほど高齢の住人が多くなるので、住民の80%以上もの多数から建て替えの賛同を得ることは極めて困難なのが実情です。

建て替えの費用は住民負担だから

建て替えの費用は住民が負担しなければなりません

いくら建て替えによってマンションが新しくなると言っても、建て替えには平均的に1,500万円以上の負担が必要になると言われています。

住民が若ければ1,500万円以上の負担をしても、マンションの建て替えをするメリットがあるかもしれません。

しかし現実的には老朽化したマンションの住民の多くが高齢者ですので、高齢者に多額な建て替え費用を負担させることは難しく、費用の問題もマンションの建て替えが進まない大きな原因の1つです。

容積率超過のマンションが多いから

マンションの中には建築時には旧法律の基準で合法的に建てられたものの、その後の法改正などによって、現在の法律に照らすと容積率が超過しているマンションも多数あります。

マンションを建て替える際には、現在の法律に合致した容積率で建築しなければなりません。

この場合は「床面積を減らす」「戸数を削る」などの対応をしなければマンションを建て替えることは不可能です。

戸数を減らすことは住民が満室の場合は不可能ですし、床面積を削ることには住民にメリットがありません。

容積率超過のマンションは建て替えをすると住民にとってデメリットが多いため、建て替えを進めることが困難です。

マンションの建て替えで住民負担がある場合とない場合

費用の住民負担はある?ない?

マンションの建て替えには費用がかかるものですが、建て替えでは住民負担がある場合とない場合に分かれます。

どんなケースで住民負担があるのか、また住民負担がないのはどのようなケースなのか、具体的に見ていきましょう。

住民負担がない場合

マンションの建て替えで住民負担がない場合は、建て替え後に戸数を増やして分譲するケースです。

容積率に余裕があるマンションにおいては、建て替え後に高層マンションにすることが可能です。

すると、数多くの新規分譲を行うことができるので、分譲代金から建て替え代金を賄うことができます。

人気エリアなどに立地していれば売れやすいので、その場合は住民負担なしで建て替えることが可能です。

住民負担がある場合

住民負担がある場合は次のケースです。

建て替え費用の住民負担がある場合
  • 建て替え後に分譲する部屋が少ない場合
  • 建て替えても分譲する部屋がない場合

容積率によほど余裕がない場合には、建て替え後に少しの部屋数しか分譲することができません。

この場合には、集まる売却代金が少額なので住民負担が生じます。

容積率がギリギリの場合には建て替えたとしても、戸数を増やすことはできません。

この場合には売却代金は全く入らないので、建て替え代金の全てが住民負担となります。

マンションの建て替えにかかる住民の負担はいくら?

建て替えにかかる住民の負担はいくら?

マンションの建て替えにかかる住民の負担はどの程度なのでしょうか?

マンション建て替えにかかる住民の費用負担
  • 建物の建て替えにかかる費用
  • 2回の引っ越し費用

建て替えで発生する費用は、建物の建て替え費用だけではありません。

建て替えの際に住民は仮住まいに引っ越すことになるので、引っ越し費用もかかることになります。

マンションの建て替えにかかる費用の詳細について解説していきます。

修繕積立金は建て替えに充てられる?

マンションを建て替えるというと、修繕積立金を充てることができると考えている人も多いのではないでしょうか?

しかし国土交通省が参考資料として作成した「マンション標準管理規約」によると、建て替えのために修繕積立金を取り崩すことは原則的に禁止となっています。

修繕積立金を使うことができるのは、建て替えのための事前調査のみです。

おそらくほとんどのマンションが、国土交通省の「マンション標準管理規約」を参考に管理規約を作成しているため、マンションの建て替えのために修繕積立金を使うことはできません。

また、建て替えが必要になるほど劣化したマンションは、毎年何かしらの修繕を施しているのが一般的ですので、建て替えの際にはそもそも修繕積立金はほとんど残っていないでしょう。

建物の建て替えにかかる費用負担

マンションの建て替えには高額な費用が必要になります。

建物の解体費用と建築費用の内訳は次のとおりです。

㎡あたりの単価60㎡にかかる費用
解体費用15,000円~20,000円90万円~120万円
建築費用28万円1,680万円

マンションの資産価値や専有面積にもよるものの、マンション一戸あたりの解体費用と建築費用の合計で、1,000万円〜2,000万円程度の費用がかかります。

マンションを建て替えるためには、これだけの高額な費用を住民全員が負担しなければなりません。

しかし住民の全員が手元に建て替えに必要なお金を持っている可能性は低く、高齢者は住宅ローンも借りることができないので、マンションの建て替えは非常に難しいのが実情です。

2回の引っ越し費用も馬鹿にならない

マンションの建て替えの際には、建て替え前の退去時と建て替え後の入居時にそれぞれ引っ越しが必要です。

引っ越しの際には仮住まい中の家賃や敷金礼金などの諸費用も必要になるので、2回の引っ越しの合計で100万円以上の支出が必要になることもあります。

マンション建て替えの際には、2回の引っ越し費用も決して馬鹿にすることはできません。

マンションの建て替えが決まった時の選択肢

マンションの建て替えが決まった時の選択肢

マンションの建て替えが決まった際に、住民の選択肢は次の2つしかありません。

  • 建て替えに応じて負担金を支払う
  • マンションを売却して引っ越す

建て替えに従うか、売却して引っ越すかの2択です。

マンションの建て替えが決まった際の2つの選択肢について詳しく解説していきます。

建て替えに応じて負担金を支払う

管理組合が建て替えを決定したら、その決定に従って負担金を支払う方法があります。

建て替え代金を支払って、建て替え後のマンションにそのまま継続的に居住します。

この場合、引っ越し費用やマンションの建て替えに必要な費用を自分で調達しなければなりません。

マンションを売却して引っ越す

マンションを売却して引っ越しをするという方法もあります。

ただし、建て替えが決定するほど老朽化した物件を売却するのは簡単ではありません。

また、建て替えが決定してから売却すると買主が建て替え費用を負担することになるため、高額な負担が必要になるマンションをわざわざ購入する買主を見つけることは現実的に困難でしょう。

売却を検討するのであれば、管理組合が建て替えを正式決定する前のできる限り早い時期に売却を行った方が良いでしょう。

売却の際には一括査定サイトを利用しよう

建て替えを検討しなければならないほど老朽化したマンションを売却することは簡単ではありません。

近隣の不動産会社へ相談したとしても、簡単に買い手は見つからないでしょう。

マンション売却を無事成功させるためには、できる限り多くの不動産会社に査定を依頼して売却を任せる会社を探す必要があります。

多くの不動産会社から査定を得るには、不動産一括査定サイトを利用するのがおすすめです。

不動産一括査定サイトは売却したいマンションの情報を1度入力するだけで、複数の不動産会社から査定を得ることができ、気に入った会社が見つかればそのまま売却を依頼することが可能です。

複数の会社から非常に簡単に査定を得ることができると同時に、信頼できる不動産会社と取引できるのが不動産一括査定の強みです。

不動産一括査定サイトは、運営会社によって加盟する不動産会社の審査を行なっています。

過去にトラブルを起こしたことがあるような不動産会社は審査に弾かれてしまうので、基本的に不動産一括査定サイトに加盟している会社は安心できます。

建て替えに賛同しない場合や、老朽化したマンションを売却したい場合には、不動産一括査定サイトの利用を検討しましょう。

まとめ

マンションが立ち並ぶ町並み

老朽化したマンションは住民の80%以上の賛同があれば、建て替えることができます。

しかし、マンションの建て替えに必要な資金は原則自己負担となっており、建て替えには一戸あたり1,000万円〜2,000万円程度の負担が必要です。

そのため、あまり建て替えが行われる事例はなく、基本的には建て替えの検討が必要なほど建物が老朽化しているのであれば売却を検討した方がよいでしょう。

ただし、老朽化したマンションは簡単には売却できません。

老朽化したマンション売却を無事に成功させるためには、複数の不動産会社から査定をもらうことが大切です。

複数の不動産会社から査定を得るために、不動産一括査定サイトの利用をおすすめします。